大暴落
9月9日の相場はS&P500が▲2.5%もの大暴落となってしまいました。昨年から今年に賭けて暴落・暴騰のサイクルが続いていますが,1月の暴落と9月9日の暴落で一つ異なるのが,暴落の影響を受けた銘柄です。
1月の相場では利上げショックによる混乱でリスクオフムードが高まり,安全資産である金・金鉱株・そして生活必需品株や公益株などの高配当ディフェンシブ株が買われました。
しかし,9月9日の暴落では,”米国内需依存の”安定銘柄が特に売られました。具体的には,たばこのレイノルズ・アメリカン(RAI)が▲5%,水道のアメリカン・ウォーター・ワークス・カンパニー(AWK)が▲4%など大暴落しています。今年前半の投資の黄金律である「安全資産(公益・生活必需品)への逃避」がことごとく裏切られる結果となりました。
暴落の原因
昨日から今日にかけてニュースをざっと調べましたが,利上げ予測や北朝鮮の核実験などいわば織り込み済み(分かってはいるけど投資家心理的に織り込みたくないものも含む)の陳腐なニュースしか出ていません。はっきり言って,米国水道事業とか米国たばこ事業のファンダメンタルに影響のあるとは言えません。
ミスター・マーケットが台風に乗ってやって来たかのような荒れ相場ですが,台風が干上がった大地に恵みの雨をもたらすように,台風が過ぎれば秋晴れの相場が来るでしょう。長期投資家であれば農家と同じく台風到来を歓迎したいと思います。
なぜそう考えるかというと,『テンプルトン卿の流儀』にあった例として「一度,土曜日に雨が降ったら,人々は”今後,毎週土曜日に雨が降らないとも限らない”といって慌てるが,実際にはそんな連続で雨が降るわけがない。」という喩えがあったのを思い出したからです。
一日暴落したからと言って,1週間連続で暴落すると考えるのは,脳のバイアスにほかなりません。
楽観も悲観も行き過ぎてしまうと害しかありません。
というわけで,今回の大暴落を引き起こした”仕掛け人”が明らかになるまで,下手に売り買いしない方がよいという判断に至りました。個人的な予想は空売りに過剰反応したコンピューターアルゴリズムの暴走で,どこかの機関投資家やETFのシステムが自動損切りしたのだと思いますが,誰が勝者で誰が損したかはいずれ明らかにされるでしょう。
記事の前半に,1月と9月で暴落した銘柄の内訳が異なると書きましたが,相場とは嫌らしいことに経験則を裏切る生き物です。銘柄のディフェンシブ度とかは私も常々意識しますが,業績の安定性と株価の安定性(ベータ値)の相関なんてあってないようなもので,暴落を避けるのはサラリーマン投資家では不可能です。
台風を避けられない沖縄県では,漆喰で屋根瓦が飛ばないようにするように,長期投資家も屋根瓦(保有銘柄)を間違って売ってしまわぬよう心構えをしておき,さらに余裕があれば屋根瓦を追加で買うようにするしかないと思います。
ほんと,台風(相場の暴落)は嫌ですね。